WORKS三題噺まとめ>1st Season - 01

●女/情報/予測
 当たると評判の新人お天気お姉さんが北部から首都圏へ栄転した。が、その実績が彼女に片思いした北部担当の雨雲の仕業である事を知る者は少ない。首都圏担当の雨雲が彼に岡惚れし、お姉さんを憎んでいる事を知る者も少数だ。当のお姉さんは渇水に苦しむ西部出身で、本当はそこに雨を降らせたいのだ。

●年齢/連絡/フラスコ
 鳩サブレーは若い頃、百貨店で逢った16歳下の幼女ひよ子に恋をした。彼は平面、彼女は立体、壁を越えるべく彼は実験を重ね、完成した薬でひよ子二次元化に成功。ひよ子サブレー誕生である。実験の様は鎌倉本店限定トランプのスペード柄に残され、ハート柄は彼が伝書鳩よろしく彼女に贈った事で有名。

●火星/プール/ドーピング
 サメが出たのでプールは中止となり、児童は校内最凶と名高いアヒルに望みを託した。睨み合う両者、舌戦の火蓋がついに切られる。「フカヒレ野郎!」「北京ダックが!」ここで沈黙、各々が自分達を搾取する真の敵に気付いたのだ。「人間共め!」怒りは軍神の雄叫びと化し、ここに最強タッグが爆誕した。

●爆竹/無差別/桜並木
 熊追いに燃やした竹が弾け、無数の男が飛び出した。揃いの法被に褌一丁、祭囃子と共に威勢よく神輿を担ぎ回すから実に暑苦しい。聞けば、自分の不在を歎く地上を慰めようと、かぐや姫が国中に仕込んだとか。速やかにお帰り願いたいが次の十五夜は来年だ。僕を尻目に祭のボルテージは頂点に達してゆく。

●人肌/プール/責任
 最終兵器アヒルがプール占拠犯サメとまさかの協定。万策尽きた児童会長(12)は腹切って果てんと周囲の制止も聞かずプールサイドへ乗り込んだ。だが諸肌脱ぎの彼に何を思ったかサメは見事な鮫肌、アヒルは手触り抜群の羽毛を見せ付ける。かくて名誉の死は幻と散り、男泣きに吠える児童会長(12)。

●アブノーマル/難易度/連絡
 鯨の群れを漁船で巧みに誘導し山車に見立てる海外の奇祭が、環境団体から抗議を受けた。曰く、知的生物である鯨に危険であると。後の研究で祭中の鯨の会話が「まーた若い奴のヘボ操縦か」「今年も俺らが誘導だな」「チッ(クリック音)」と解読され、抗議は尻すぼみとなったが祭も緊迫感が倍加した由。

●年齢/液晶/群れ
 墜多地獄…SNSに溺れ死んだ者が墜ちる地獄。発光する石が落ちている荒野。亡者達がモバイルの光と間違え、拾って呟こうとすると上空から鳥の落とした鯨に潰される。流行りの風が吹けば彼らは甦り、同じ事を繰り返す。その様を若手獄卒が写メって閻魔帳(獄内イントラ)に流す不祥事も後を絶たない。

●雪/責任/録画
 雪の結晶を撮影すると写真と共にランダムな単語が出てくる「ユキモジ」というお遊びアプリがある。複数撮れば文章も適当に作れるので、試みに手袋の上の一粒が解ける経過を三枚撮って実行すると、崩れゆく結晶と共に「手のひら 脱出 ゲーム」と表示された。どうも一生消えない十字架を負ったらしい。

●かさぶた/液晶/戦友
 携帯からシールの残骸を剥がし、ストラップを新調してやる。七年物ながら親指一弾きで開く手応えは小気味いいし、テンキーの確実性も捨て難い。ついに先日、携帯という民族の終焉を見届ける同盟を友人と組んだ。普及の規模を見てもさぞ壮大な最期だろう。なお、携帯の予測変換にガラケーの文字はない。

●意識/プール/連絡
 プール落雷の速報、児童会長敗北以来厳戒体制の学校は沸き返った。聞けばサメの背鰭を直撃した由、神意ととった児童達はプールへ攻め寄せた。が、そこには人事不省どころか無傷のサメ、同じく万全のアヒル。これが神意か。膝をつく児童の眼前で水面が波打った。今の電気刺激で命が、命が発生したのだ。


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