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WORKS文字書きさんに100のお題>021:はさみ

 振られた悔しさに、彼女は彼を呪おうと試みた。

 * * *

 爪を切り終え、彼はゴミ箱の上で爪切りバサミを振った。さらさらと音を立ててハサミ(爪が飛ばないカバーつきだ)から爪が流れていく。
 それが落ちきったのを確かめ、ハサミを仕舞おうとして……彼は、ふとその中を覗き込んだ。
 カバーに覆われたハサミの奥に、切った爪が引っかかっていた。
 ハサミを逆さにして、少し強く振ってみる。
 少し顔をのぞかせた爪を、指でつまんで引き出そうとした。

 と、ハサミの口から小さな蜘蛛が一匹、おろおろと逃げ出していった。
 どっから入り込んだんだ。さして気にも留めず、彼はそのまま爪を引き出した。

 蜘蛛の糸で絡められて、大量の爪の切れっ端がずるずると引き出されてきた。どれだけ引き出しても尽きることがなかった。


END


WORKS文字書きさんに100のお題>021:はさみ