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WORKS文字書きさんに100のお題>034:手を繋ぐ

 夏の日。
 私は、ロボット祖母と出かける。

 何年か前、祖母は心臓を患って入院したが、体のほうもずいぶん弱ってしまったので、脳だけを機械の体に移植したのだ。
 だから、体はロボットでも、心は優しい祖母のままだ。

 デパートで、私はロボット祖母にスニーカーを買ってもらった。
 ロボット祖母の目が、どう、と訊く。
「具合いいよ、ありがとう」
 私が答えると、ロボット祖母の目がかすかに光る。
 ロボット祖母の機械の脚には、もう靴は要らない。

 そのあと、ロボット祖母と私は、デパートの甘味処に入る。
 ロボット祖母は、私にクリームあんみつをおごってくれる。
 味つきの機械油を飲みながら、ロボット祖母が、おいしいか、と訊く。
「おいしいよ」
 私が答えると、ロボット祖母の目がかすかに光る。

 帰り道。電車を降りると、陽の光が強くなっていた。
 ロボット祖母は日傘を広げた。機械の体に、日光は良くないのだ。
「持つよ」
 私はそう言い、ロボット祖母の日傘を持つ。特殊な繊維でできた日傘は重かった。
 私は、ロボット祖母に日傘を差しかけ、午後の街を並んで歩いた。

 かげろうの立つ通りの向こうに、家の門が見える。
「ここ、段差あるよ」
 そう言って、私は、ロボット祖母の手を取る。


END


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