もうずっと眠れずにいる。
じいっと横になって、目を閉じる。そのままいつまでもそうしている。
しかし、頭はおかしいほどに冴え渡り、長い長い時が過ぎる。
そして、いつしか夜があける。
睡眠薬だのアルコールだの。手当たり次第に試した。
昼間、死ぬほど走ったこともあった。
だが、待っているのはいつも、長い夜。
眠れない。
いつまで……?
ふと、涙が流れた。
* * *
ふと、涙が流れた。
「……あ、ねえ、泣いてるよ」
ベッドの脇で、彼女はつぶやいた。
「え…… あ、本当だ」
「何の夢、見てるんだろうね」
「さあ、な」
「いつになったら、起きるのかな」
「……止せよ」
「あのバイク事故……」
「止せったら」
沈黙。
目覚められない。
いつまで……?
END