俳句
そのうち増えます。無季あり。
たんぽぽを思わず避けて草刈機
春近くとも満タンの灯油缶
好きなのは白無地ノート冬曇
しみしみとカレー喰む短日の席
鉄柵に鳩の足音冬の朝
飼い犬と保健所の犬聖誕祭
世が終るみたいにクリスマスイルミ
うつくしい雑種と居りぬ冬座敷
あったかいもんが食いてえ懐手
ハンドルは浮き輪残業明けの雪
ラーメンを冬の季語とす最寄駅
冬将軍叩き出される暖炉ばた
電飾を巻かれショベルカーも聖夜
ケロシンを呼吸する底冷えの土間
富こそは欲張りの罰冬木立
憎むとは自傷行為か油照
少しでも少しずつでも蜘蛛の飛ぶ
プラごみも還りたいのか草いきれ
北斗七星の持ち手へ沢の音
天に昇る龍もふらふら春一番
北斗七星の持ち手へ沢の音
春浅し術後の犬にねんねねんね
風邪引きを犬の見守る冬座敷
ハーネスに霰ぱらぱら散歩道
目張り用テープ売切れ冬籠
秋の日は明るしモグラ獲る愛犬
山の端にまだ引っかかる秋の雲
ドッグランデビュー満開の秋桜
換毛期の犬くしけずる秋の雨
乾かない犬用ベッド秋暑し
許されぬ許せぬ喧嘩秋の雨
避妊待つ犬のおっぱい数えて秋
横転のワゴンひぐらしひぐらしひぐらし
電光で発火せる雲ひとつだけ
アスファルトのイモリにも沢蟹にも雨
犬の舌の影ひらひらと梅雨晴間
濡れ靴に夏蝶止まりきて土曜
蛾も犬も人もねんねの2DK
犬急病 羽虫百匹撥ねつつ獣医への夜道
こどもの日膝に十六キロの犬
幸せは犬の匂いの春ショール
人間を信じぬ犬と見る菫
拾い犬のいびき微かに朧月
春日傘WBC観ぬ同士
トンネルに右脚残しきりぎりす
のり面落ちる枯葉一枚分の音
お互いの熱の恋しさ秋烏
村に来て明るさを知る十三夜
級数のための投句か秋寒し
勇ましいニュースの隅の枯れ葉かな
被災したクモの巣秋空に再建
まちがえたままの人生天高し
灯恋しブリ照りの匂いの幽霊
プレバトが休みで秋の夜は長し
秋虹や国とは民のためのもの
栗おこわ宿題なんて後だ後
「葬式は要らん、皆でサンマ食え」
龍淵に潜む寝入りばなにムカデ
ご先祖もみんな招いて芋煮会
子がいたかもしれぬ人生天の川
袋ラーメン二つ食えなくなって秋
台風一過山水の茶とダムの茶と
ごきぶりも夏の季語なり足音聴く
野分とは音を束ねた龍なるか
台風の夜のタイ風の唐揚げよ
句帳といふものの嬉しさ紅秋桜
窓なんてどこにでもある鳥渡る
ショウジキとチキショウが似る日の野分
靴擦れに手当て車窓はれんげの田
ふきのとう味噌のげんこつおにぎり提ぐ
鴨の群れかき混ぜてゆく冬の風
人が人をやめたような事件寒波の日
ワクチンの筋肉痛に秋日降る
親だから子だから喧嘩秋の風
死にどきと決めしか蠅の動かざる
看護師の子が一秒も観ぬ五輪
人類は少数民族大夏野
夏至の暮れ烏三羽の位置関係
掃除機で迎え撃ったる蚊一匹
マスク一枚の向こうに風薫る
そういえば春は来るんだズボン干す
この星も星座の一部冬菜切る
ウイルスの鼓動聴きたし冬籠
街じゅうの野良を呑み込む炬燵かな
両の手でかっさばきたし冬の雲
ラジオ体操あお向きて青より見えず
電柱に冬鷺一羽灯りをり
チョコレートは薬なるべし冬籠
頼むからもう諦めろ冬の蚊よ
オリオンのさやかに稔る梢かな
足先へ命を流す炬燵かな
どうしても季語になる気のない地震
ビー玉をばら撒いたよな鴨の池
落ち込んでいたかったのに天高し
本当に出てくれたねえ名月よ
貝殻の音の聞こえぬ歳になる
何匹の龍潜んだか今日の淵 季語「龍淵に潜む」合わせ
食事ウンチ食事休みの青虫や
秋雨や密で秘密な傘とふ字
龍の気で蛙は潜む山の淵
霧雨のなか水中花のような人
水棲に戻れと言うか小糠雨
白い靴触りたかった土用波
リスのいる庭だ背中に木の実降る
声だけで顔は知らない秋の虫
故郷とは違う花咲く島にいる
本当に秋は隣か開いた窓
虹の出る雨は稀です泥の靴
炎天下世界はソーシャルディストピア
炎帝猛る今年生まれた蚊の不幸
もう梅雨と言えないのかな豪雨来る
まだ夏の季語使えそな夜の熱
世界一の馬鹿へかぶされ雲の峰
かまきりの子が一丁前にかまきり
セミの声まだ憶えてる夜の耳
冷房をお許し願うこの酷暑
蚊のお腹カナブンのお腹見る網戸
蚊と蚊と蚊ガールズトークする網戸
四階も天空のうち南風
鳥か虫か獣かヒトか夜の声
かなぶんの一機墜落枕元
あの梅雨は何だったのか油照り
油蝉の真横で暮らす緊張感
蝋燭の透き通る時だけの沼
空中は蚊の国鳥の国雲の国
この夏は海に行きたい!(埼玉県)
地元は豪雨あの川溢れるんだねえ
柴犬の顔で乗り出す塀のバラ
空白く吹雪みたいな夏の雨
見えぬからずっと憶えている彗星
老いるって多彩なのかな紫陽花よ
あじさいは己が天下を誇らない
大正昭和平成令和おばあちゃん
愛国とふ鎖国の中卯の花腐し
猫に気を遣われる日の梅雨曇り
昼下がり夏のカラスは可哀想
意欲停滞あじさいだけをじっと見る
ヒト以外みんなそろって大連休
蚊よ頼む守れソーシャルディスタンス
君たちはきょうだいですねヒナゲシよ
デデポッポウ姿確かめずにおかぬ
花笑う道を選んで出社する
春の塵コロナも季語になりたいか
ウイルスをおもてなしせよ春嵐
通勤のひと足ごとに花笑う
小さい花小さい花にある宇宙
塀の天辺より薔薇どもの逆落し
野良猫と野良猫と野良猫と俺
桜より梅 晴れよりも糸の雨
待ったっていいのだ午後の陽は緩く
うどん煮る不撓不屈なわけもなし